EXHIBITION INFORMATION
“Agricultural Revolution 3.0” Installation / Living Research
インスタレーション | 2016年3月16日 ( 水 ) – 3月29日 ( 火 )
リビングリサーチカンファレンス | 2016年3月27日 ( 日 )
会場 | 鶴岡アートフォーラム
〈 協力 〉
ケンブリッジ大学 生物科学学部 / コロンビア大学 / Royal Pride Holland(Agriport a7) / ECOR(Noble Environmental Technologies) / OMA NY / bioMASON / Thought Collider / Heliae / Tsai Design Studio / Ecovative / 日本総研 / ヤンマー株式会社 / NARO 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 / 出羽庄内特産 / はたらくロボット株式会社 / 株式会社Doog /エアロセンス株式会社 / 植物工場研究会 / 慶應義塾大学 先端生命科学研究所
Graphic Design | 植原亮輔(KIGI)
Conference | Powered by Wired JAPAN
リサーチ | THE EUGENE Studio
脚本 | Eugene Kangawa
後援 | Tsuruoka City / The board of education of Tsuruoka City / Spiber Inc. / Tsuruoka Art Forum
主催 | Agricultural Revolution 3.0 Project Committee
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概要
( 本文抜粋 )
鶴岡市とアーティストがともに描く、農業の未来。
未来学者アルビン・トフラーは自著『第三の波』 ( 1980年 ) の中で、人類が一万数千年前に農耕を開始したことをもって第一次農業革命と定義しました。そして18世紀イギリスで産業革命とほぼ同時期に起きた農業の効率化による歴史学上での農業革命を第二のそれと位置付けるならば──スマートアグリ単体よりも更に大きな変革ー本来的な”第三の農業革命”は目前に迫っていると言えます。
“Agricultural Revolution 3.0 ( 邦訳:農業革命3.0 ) ”は、スマートアグリとバイオテクノロジーという2つの柱の発展によって、農作物が従来の食料生産のみならず、生活の様々な素材やインフラを構成していくという可能性、つまり“農作物が石油と同等かそれ以上の役割を担い得る”可能性と、これらを同時に支える農業都市の実現による農業の重要性の劇的な変化を示します。これは田園が広がる農村風景ー超人工の自然風景ーを残しながらも、多様な基幹産業の中心地であり限られた範囲で循環する街という情景を想像することを可能にするのです。
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本プロジェクトは、山形県鶴岡市とアーティスト/映像作家 EUGENE KANGAWAのスタジオが共に行うリサーチプロジェクトの総体であり、 〈 もう一つの農業 〉 の脚本を起点に、“これから起こりうる未来を顕在化させること”、そして、“「新たな農業都市」としてのステートメントを世界に向けて宣言すること”を目的とした試みです。
今回このイメージを様々なレイヤーで顕在化させるため、 アーティストの描く希望的な世界観をもとに、世界中の研究者や組織と未来のイメージの共有を試みました。定量的な情報だけではないこれらを 〈 リビングリサーチ 〉 と名付け、ここで蓄積したイメージをインスタレーションなどを通して可視化します。
3月16日からはこれらのリビングリサーチに基づいて、まるで映画のワンシーンのように構成された“地続きの未来像” を描くインスタレーション ( 2016年3月16日 ( 水 ) – 3月29日 ( 火 ) 鶴岡アートフォーラム )を、そしてリビングリサーチを拡張する形で、様々な専門家が参加するリビングリサーチ・カンファレンス ( 2016年3月27日 ( 日 ) 同会場 ) を行います。
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これらの試みは、もはや大規模/長期的な計画が通用しづらくなった不確実性が高い社会/都市において、徹底した原理主義的な世界観の共有ではなく、複雑に前進しつつも快適な未来ー進行系の現在ーのバランスを探すための一つの方法といえるでしょう。
“Agricultural Revolution 3.0”は、これまでの産業革命や情報革命などと比較すると表層的には控えめな“革命”かもしれません。しかしむしろ、効率/機能面ではドラスティックな進化が見えない可能性はあるものの、生活のあらゆるものを着実に代替し、既存の価値観を省みつつも前進する歩み──これこそが次世代の革命のかたちであり、人類の進化と言ってもいいのではないでしょうか。
産業革命以降、資本主義の中で発展してきた像とはまた異なる“理想”が重なり、もう一つの希望的な世界のイメージが描き出される今回の試みが、自然と人間の本質的な関係性、食、エネルギー、農業など様々な領域においての倫理観などを改めて考え、同時に次なる社会の到来を希望的に予感させる機会となることを期待します。
Agricultural Revolution 3.0 実行委員会
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インスタレーションでは、様々な協力者との 〈 リビングリサーチ 〉 を通したキーワードや技術に基づいた多様なオブジェクトで構成されました。
リビングリサーチからは例えば、”生態系の安定性は多様性に依存するという意味で、農業、食物は多様にならざるを得ない”“先端的と大規模というイメージが重なってしまうことをなくすよう敢えて小さい植物工場も植物工場と呼ぶ”( 古在 豊樹 [ 千葉大学名誉教授・元学長 ] ) “垂直農法は巨大な建築ではなく、現実的な最小の範囲で行われるべきである” ( ディクソン・デポミエ コロンビア大学教授 近代垂直農法の提唱者 ) “いま重要なのは大型機械ではなく小型機械の充実と作業の分割である”( サイモン・ブラックモア 農家 / ハーパーアダムス大学教授、農業用ロボット会社スワームファーム創立者 ) “IT業界は私たちの情報環境を大きく変えたが、バイオテクノロジーは私たちの生活にどんな影響を与えるだろうか。そこには変わらない住宅環境と、環境に配慮された製造工程の変化がある” ( ECOR )といった様々な人々が描く理念を引用します。
過去の素材史などの他に、バイオテクノロジーが可能にさせた廃棄物やセルロース、構造タンパク質から生み出された新素材で一部が構成された家具、器、衣服などを、さらに奥手では農業廃棄物からできる新素材の生成プロセスを簡易化したものが展示され、これらは実際に期間中に菌類を発酵させ、素材が成長していく過程を見ることができました。そして中央では、小型の簡易なユニットで構成される、今とはさほど大きくは変わらない農場の風景が描かれました。
また、リビングリサーチ・カンファレンスと題し、若林恵 ( WIRED JAPANの編集長 ) 、重松象平 ( OMA NY パートナー ) や、オランダ農業のICT導入を牽引した農場経営者の1人フランク・ファン・クレーフェ、構造タンパク質素材を開発するSpiber社の関山和秀、先鋭的なバイオアートのキュレーションを行う高橋洋介 ( 金沢21世紀美術館キュレーター ) など多種多様な分野の専門家たちが参加し、断片的にこれらの世界が実現可能であることを明らかにします。
ごあいさつ
( 本文抜粋 )
このたび、鶴岡市の基幹産業である農業が、従来の食料生産のみならず、エネルギーやものづくりなど、様々な産業分野をも担う「次世代農業」の姿を体感するための企画展示「Agricultural Revolution 3.0 / 農業革命 3.0」を開催致します。
鶴岡市は、地方創生戦略の柱の一つに「次世代イノベーション都市高度ブランド化の推進」を掲げています。この「次世代イノベーション都市ブランド」とは、本市がこれまで築いてきた先端バイオ研究や食文化創造の根底に流れている革新性にあふれる都市像であります。そして、この先端バイオと食文化に共通する基盤はまさに「農業」であると考えます。このため、本市における人口減少時代の持続可能な都市づくりの重要な鍵として「次世代農業」に着目し、その高度ブランド化を推進することで、地域の農業、工業、観光業など各産業の成長の飛躍的な加速を目指します。
今回の企画展示はそうしたビジョンについて、皆様とともにイメージを体感し共有するものとして、今後の飛躍的な成長の第一歩となれば幸いです。このたびの開催にあたりましては、次世代農業の先駆的な開発や事業を展開している国内外の企業や研究者の皆様から、趣旨にご賛同いただき多大なご協力をいただきました。心より御礼申し上げるとともに、今後の本市の “未来へのRevolution”にご支援いただきますようお願い申し上げます。
鶴岡市
Agricultural Revolution 3.0実行委員会
FEATURED BY
WIREDにおいて「Agricultural Revolution 3.0」が紹介
3/27、山形・鶴岡でぼくらが目撃する「農」と「都市」の未来
山形県鶴岡市で始動した「Agricultural Revolution 3.0」では、プロジェクトの一環として3月 27日 ( 日 ) 、バイオヴェンチャーや研究者、海外の農場経営者やさらには建築家らを登壇者に招いた大型カンファレンスが開催される。「未来の農業」と、それによる地方創生まで、最新の知見を得られる機会となる。 ( 本文抜粋 )
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WIRED JAPAN, 2016年 3月 25日
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ASCII.jpにおいて「Agricultural Revolution 3.0」が紹介
世界初クモの糸で作る服登場、農業と産業に大きなインパクト
農業とテクノロジーが組み合わさる時代がようやくこようとしている。どこからくるのか、山形県鶴岡市からだ。市内にある鶴岡アートフォーラムで「Agricultural Revolution 3.0 ( 農業革命3.0 ) 展覧会」が開催された。ITを利用して新たな農業の取り組みをする「スマートアグリ」と先端バイオテクノロジーを導入した、「次世代農業」を体験するイベントだ。3月27日には農家や建築家、美術館のキュレーターなど各分野の第一人者が集まり、次世代農業についてそれぞれの切り口から語るカンファレンスも開催された。 ( 本文抜粋 )
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ASCII.jp, 2016年 4月 6日
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マイナビニュースにおいて「Agricultural Revolution 3.0」が紹介
映画の舞台のような空間で「次世代農業」を体験する企画展
会場は、アーティストと様々な協力者とのリサーチに基づいて構成された、まるで映画の舞台のような空間になっており、スマートアグリカルチャーとバイオテクノロジーが生活の中で繋がり循環する未来の情景が広がるインスタレーションとなっている。また、同展のグラフィックデザインはKIGIの植原亮輔が担当しており、同展ポスターなどを手がけている。 ( 本文抜粋 )
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マイナビニュース, 2016年 3月 23日
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NHK, YTS , Shounai News Paper, etc.
PROJECT SUMMARY
Agricultural Revolution 3.0
“農業革命3.0” 新農業都市を世界に向けて宣言する。
山形県鶴岡市と共同で、国内外の研究機関の協力のもと、コンセプト、リサーチ、インスタレーション、カンファレンスに連なるプロジェクト“Agricultural Revolution 3.0”(邦題;農業革命3.0)を行いました。
「新たな農業都市」を世界に向けて宣言するこの試みには、リサーチではケンブリッジ大学やコロンビア大学、カンファレンスでは金沢21世紀美術館やOMA NYなどからゲストが参加。NHKでも放映されるなど注目を集めました。ザ・ユージーンではことばの発案からインスタレーション、カンファレンス設計に至るまでを担当しています。]
リサーチアーカイブはこちらよりご覧いただけます。
“Agricultural Revolution 3.0” , Installation view, mixed media, 2016.
©Eugene Kangawa 2016 ©THE EUGENE Studio.
1/4. Process / Concept Making
Speculating a Future where Agricultural Crops Replace Petroleum and the Whereabout of its Possibility
“Agricultural Revolution 3.0”(農業革命3.0)は、テクノロジーを利用した”スマートアグリ”と、“バイオテクノロジー”2つの分野の同時発展によって、“農作物が素材やエネルギーなどに転じ石油以上の役割を担う未来”と、これらを支える都市と産業の劇的変化を定義し、名付けました。
階級や格差、労働様式など、様々な現代の問題を引き起こす一因となった第一農業革命(未来学者アルビン・トフラー『第三の波』)と、産業革命によって引き起こされた第二次農業革命を克服するべく、慎重に定義していきます。
Drawing of “Agricultural Revolution 3.0”、Series of “paradox of post industry city” ”IRON NATURE” ©Eugene Kangawa 2012
2/4. Process 2 Tsuruoka City / Vernacularity and Urban Planning
“革命の体現者”
このプロジェクトの舞台となった庄内地方/鶴岡市は長い農業の歴史を持ち、一方バイオ領域では多大な成果を挙げてきました。2017年には妹島和世(SANAA)らが手がける国内最大規模の文化会館が市役所前に建設されるなど、垂直・人工密集型の従来都市とは異なる新たなモデルとして注目を集めつつあります。
産業と都市は歴史上多くの場合一体となって前進してきました。ザ・ユージーンは、次世代の都市を前史より良いものにするためには、産業や経済のみが先行するものではなく、都市基盤や文化の成熟が完全に並走したかたちで行われることが重要だと考えています。
Aerial view of Shonai region around Tsuruoka City
3/4. Living Research & Installation
リサーチと連動するオープンスタジオ
「農作物が石油以上の役割を担う世界」の到来 ― この予測の検証、あるいはさらなる精緻のために ― 私たちは多角的なリサーチ、ディスカッションを行う必要がありました。
リサーチにおいては、国内外の研究機関や新素材を開発する企業、シンクタンクへのインタビューや素材/情報提供を経て、それらの実物を小道具として蒐集したインスタレーションを空間に構成することで、リサーチと連動し様相が変化する、有機的なオープンスタジオ・インスタレーションを美術館内に設置。
農業廃棄物や構造タンパク質をもとにした新素材で構成された家具、衣服、照明、食物、期間中に生成される新素材、オープンソースの農業用マシンの小型農場などを、舞台や映画のセットのように配置し、 体験を伴った思考の探索ができる場所を作ります。
Agricultural Revolution 3.0” , Installation view, mixed media, 2016.
©Eugene Kangawa 2016 ©THE EUGENE Studio.
4/4 Theatrical Conference
演劇的なカンファレンス
最終日程では、会場一部を変形しカンファレンスを実施。 リサーチやプロセス内容を編集した書籍を配布し、庄内を拠点とする専業農家や新素材を開発するSpiber、食と都市を研究するOMA NY、Wired、21世紀美術館などからのゲストが新農業都市の多様な可能性や、その未来の是非を語りました。これらの試みは開館以来最大の初動来場者数を記録するなど、大きな注目を集めました。
この「革命」は、以前のそれらと比較すると表立っては控えめな“革命”かもしれません。しかし、機能面では劇的な変化が見えないとしても、生活のあらゆるものを緩やかに代替していく歩み─これこそが次の革命のかたちであり、進化といえるのではないでしょうか。
ザ・ユージーンでは、ここまでを一つの総体的な作品として取り組んでいます。
“Agricultural Revolution 3.0” , Installation view, mixed media, 2016.
©Eugene Kangawa 2016 ©THE EUGENE Studio.
Agricultural Revolution 3.0
Research
ケンブリッジ大学 生物科学学部 / コロンビア大学 / Royal Pride Holland(Agriport a7) / ECOR(Noble Environmental Technologies) / OMA NY / bioMASON / Thought Collider / Heliae / Tsai Design Studio / Ecovative / 日本総研 / ヤンマー株式会社 / NARO 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 / 出羽庄内特産 / はたらくロボット株式会社 / 株式会社Doog /エアロセンス株式会社 / 植物工場研究会 / 慶應義塾大学 先端生命科学研究所
Graphic Design | 植原亮輔 ( KIGI )
Contractor | 株式会社マルゴ
Conference | Powered by Wired JAPAN
Research | THE EUGENE Studio
Archive and filming | THE EUGENE Studio Visualization Dept.
Script | Eugene Kangawa
後援 | 鶴岡市 / 鶴岡市教育委員会 / Spiber Inc. / 鶴岡アートフォーラム
主催 | Agricultural Revolution 3.0 実行委員会